虫の息。
だが、生きている。
痛みの中で、生きている。
………なんて、残酷なのだろう。
串刺しで動けない兵士達の両足に、真っ黒な影がにゅるりと絡んだ。
………手だ。
「―――ご覧よ…ルア……」
手元で剣をくるくると回しながら、残虐且つ不気味な光景を眺めるキーツ。
………何故だか、笑みが零れた。
嘲笑に似た笑みが。
「………あの人間から離れた姿が…俺達の敵だ。………影と変わらないじゃないか…」
上へ上へと伸びる手から、肘、肩が徐々に現れていく。
立ち込める黒煙から、人の姿が露になった。
足首掴み、腕を掴み………全身が完全に、表に出た。

