塔の屋根の上で舞台を見詰めるオーウェンは、口元を緩めた。
「………いや……動いてない訳じゃねぇ…」
普段はおとなしいルアが、今は猛獣の様に呻いている。
兜を目元まで下ろし、キーツは剣をゆっくりと、抜いた。
「………もう……動いている…」
草花以外、地表には何もない荒野。
一歩一歩、小高い丘の森へ進んで行く兵士達。
その動きが、止まった。
否。
動けない、と言う方が正確だった。
チェス駒の如く横一直線に綺麗に整列した白い兵士達。
動きを止めた彼らが、一瞬で………。
荒野を背景とした虫の標本の様に、串刺しの姿と化した。

