ならばこの明かりは、地獄の灯火か。
罪人を慰めてくれる、頼り無いようで………唯一信じれる光か。
(―――……………)
オーウェンは瞬きもせず、ただただ……天井を見詰めた。
………痛みは、無い。
………冷たい風にも、身体は寒さを感じない。
………何も、感じない。
…………何だろうな。
この………虚無感は。
………空しさは。
………子供の頃の………あの感覚。
教育熱心な父と母は、羽ペンとインク壺、羊皮紙、それと日ごとに変わる家庭教師だけを俺によこして、何処かへ行ってしまう。
会うのは食事時のみで、会話は無い。
幼い頃からそんな環境にあったから、何とも思わなかったし、それが普通だった。
しかし、ある時、ふと思うのだ。
…どうして勉強をしているのか。
どうして貴族なのか。
どうして外に出てはいけないのか。
どうして自分はこの広い私室に……いつも……………独りなのか。
虚無。
何かに飢えている自分を、独りの時に見つけた。
いや、いつも独りではないか。
独りだったじゃないか。
そう。
俺は。
………女々しいことを言う様だが…。
…………俺は。
光に背を向ける様に、ゆっくりと、瞼を閉じた。
俺は……。
(………俺は…………)
このまま眠ってしまおう。

