……虫の息だ。
今まで立っていられたのが不思議なくらいだったが…………もう、無理だろう。
………死ぬ。
「…………白黒…ついた様だな………。…………………………」
「…………はぁ…………はぁ………はぁ………はぁ………………………………ハハッ……………そ…う………………………だな…ぁ……」
………死ぬんだ。
………やっと…俺は死ぬのか。
死ねるのか。
………死ぬって…どんなだ?
どんなものなんだ……?
…………なぁ……………エルシア………。
静かに微笑むオーウェンの喉元に、ベルトークは剣を突き付けた。
……………もう死ぬしかないオーウェンが…………笑っている。
また…………また………………。
――――苛立つ。
その笑みに。
この男に。
この男の生き方に。
自分には無いものに。
「…………本当なら……ジワジワと苦しめてからにしたかったが………………今すぐ楽にしてやる………。……………………早く私の前から………消え去れ……!…………貴様の生きている姿など………もう………見たくもない………!!」
喉に刃を向けたまま、剣を握った腕を…引いた。
震える喉目掛けて、突き刺すつもりだった。
………呼吸が弱くなっていくオーウェンを、ベルトークは鋭い眼光で見下ろす。
「―――さようなら…だ。………オーウェン」

