亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


……虫の息だ。

今まで立っていられたのが不思議なくらいだったが…………もう、無理だろう。


………死ぬ。













「…………白黒…ついた様だな………。…………………………」

「…………はぁ…………はぁ………はぁ………はぁ………………………………ハハッ……………そ…う………………………だな…ぁ……」












………死ぬんだ。











………やっと…俺は死ぬのか。







死ねるのか。




















………死ぬって…どんなだ?













どんなものなんだ……?


…………なぁ……………エルシア………。


















静かに微笑むオーウェンの喉元に、ベルトークは剣を突き付けた。

……………もう死ぬしかないオーウェンが…………笑っている。


また…………また………………。






――――苛立つ。










その笑みに。
この男に。
この男の生き方に。




自分には無いものに。
















「…………本当なら……ジワジワと苦しめてからにしたかったが………………今すぐ楽にしてやる………。……………………早く私の前から………消え去れ……!…………貴様の生きている姿など………もう………見たくもない………!!」















喉に刃を向けたまま、剣を握った腕を…引いた。


震える喉目掛けて、突き刺すつもりだった。




………呼吸が弱くなっていくオーウェンを、ベルトークは鋭い眼光で見下ろす。





「―――さようなら…だ。………オーウェン」