亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

………行いが……全て正しい訳が無い。


………間違いだってある。


悔やむ事も…ある。





ずっと………ずっと後悔するのだ。











―――………自分のせいで………一番大切なものが壊れてしまうとしたら…?




「――………救う以前に………私は……………最初から壊しているのだ………!」


オーウェンは激痛に耐えて直ぐさま立ち上がり、修羅と化したベルトークの剣の乱舞を受け止め続けた。









………何を言っている?


…………壊した…?


…………この男の凄まじい殺気は……………一体………何処に向けられているのだ。






(…………こいつ……………)











冷たく、鋭い瞳の奥に………苦痛を見た。





ベルトークは剣を頭上に振り翳してきた。

ゆっくりとしたその動作に、オーウェンは槍を構えた。





「―――貴様の綺麗事を…………………………並べるな…!!」













………この男が、一体どんな過去を抱えていたかなど、知らない。
知りたくもないが。









………だが…自我まで見失った様な彼のその目。

苦痛に歪んだエメラルドの瞳には。









………異質ではあるが……同じ位、重く、暗い影が………垣間見えた……気がした。








…………手足に激痛が走った。
オーウェンの槍を握る手から、ふっと力が抜けた。





重い一撃が、待ち構えていた長い槍に落とされた。



















………音も無く、槍は、真ん中から両断された。鏡の如き滑らかな切断面を見せた。