距離をとったオーウェンは訝しげな表情を浮かべ、息の乱れたベルトークを見詰めた。
「…………どうした…?………………俺の言った事がよっぽど……………気に食わなかった様だな………?…………………………眉間に皺寄ってるぜ…兄さん…………………………っ……けほっ………」
突如寒気を感じ、オーウェンは激しく咳き込んだ。
………血が混じっている。
一つ咳をする度に、体力がどっと削られている気がした。
「―――………貴様だけが……………そんな綺麗事を言えるのだ………」
………低い、震えた声が聞こえた。………………オーウェンは、感情を表に出さない筈の声の主を見やった。
「…っ………何だって…?……かはっ……………………あんた……何を言って…」
「………黙れ…!」
叫ぶや否や、ベルトークは離れたオーウェンに向かって剣を振り、半円に宙を斬った。
―――空気が波打つ。
………目の前に、蜃気楼の様な揺らぐ空気が見えた。
間髪を入れず飛んで来る風。
オーウェンは反射的に屈んで避けた。
………瞬間、頭上を通り過ぎた風は、その向こうの壁に横一文字の深い溝を作った。
…………ベルトークの十八番である速さを活かした真空斬りだ。
ゴーガンの強力なかまいたちとは違い、こちらの斬撃は真空を生み出すため、当たれば傷が広がっていく厄介な技だ。
事実、壁の溝はどんどん周りを削っている。
………しかし、飛ばせるなんて知らなかった。
(……………危ねぇ……)
ヒヤッとし、オーウェンは身体を起こした。
………が、頬を新たな風が掠めていった。
背後の壁に次々と、途切れることなく斬撃が打ち込まれる。
「…………どうした…?………………俺の言った事がよっぽど……………気に食わなかった様だな………?…………………………眉間に皺寄ってるぜ…兄さん…………………………っ……けほっ………」
突如寒気を感じ、オーウェンは激しく咳き込んだ。
………血が混じっている。
一つ咳をする度に、体力がどっと削られている気がした。
「―――………貴様だけが……………そんな綺麗事を言えるのだ………」
………低い、震えた声が聞こえた。………………オーウェンは、感情を表に出さない筈の声の主を見やった。
「…っ………何だって…?……かはっ……………………あんた……何を言って…」
「………黙れ…!」
叫ぶや否や、ベルトークは離れたオーウェンに向かって剣を振り、半円に宙を斬った。
―――空気が波打つ。
………目の前に、蜃気楼の様な揺らぐ空気が見えた。
間髪を入れず飛んで来る風。
オーウェンは反射的に屈んで避けた。
………瞬間、頭上を通り過ぎた風は、その向こうの壁に横一文字の深い溝を作った。
…………ベルトークの十八番である速さを活かした真空斬りだ。
ゴーガンの強力なかまいたちとは違い、こちらの斬撃は真空を生み出すため、当たれば傷が広がっていく厄介な技だ。
事実、壁の溝はどんどん周りを削っている。
………しかし、飛ばせるなんて知らなかった。
(……………危ねぇ……)
ヒヤッとし、オーウェンは身体を起こした。
………が、頬を新たな風が掠めていった。
背後の壁に次々と、途切れることなく斬撃が打ち込まれる。

