Lost in memory ~失われた記憶~

「まずワシはジョン=ブライアンじゃ。お主は…」
「…っ」
答えられなかった。
ここで僕が「pxcー633号です」なんて言っても通じないし、
怪しまれてしまうと思ったから。
だから…

「分かりません」
素直に嘘をついた。
おじいさんは目を見開いている。
「なぜじゃ?まさか…記憶喪失か!」
「そうかもしれませんね…」
おじいさんは顔を伏せて黙り込んでしまった。
僕もそれにつられて静かに顔を伏せた。

「なにかひどい事があってそうなったんじゃろう。人間不信になってもおかしくない」
顔を上げたおじいさんの顔には、大粒の涙が溜まっていた。

しばらくの沈黙の後、おじいさんは静かに口を開いた。
「お主、ワシと一緒に暮らす気はないか?」


僕は、一瞬呼吸をすることを忘れてしまっていた。