あれからどれほどの時間が経ったのだろうか。
すれ違う人たちはみんな僕のことを見て見ぬふりしていった。
でも、僕は何とも思わなかった。
なぜなら、人間が嫌いだから。
自分勝手に生きていく人間が大嫌いだったから。

でも…。
「ママ!今日のご飯は何?」
小さい男の子が期待に満ちあふれた目で母親に尋ねていた。
「今日はあなたが好きなオムライスよ!」
「やったあ!」
「…。」
そんな風に話す親子がうらやましいと思った。
あのこは産まれてから今までずっとあんな風に可愛がってもらって生きてきたのだろうか。

僕なんて産まれてすぐに捨てられたのに…。
可愛がられることすら無かったのに…。
そんなことを思ったりもした。