「ゆーの!」


結局置いてきてしまったし
さーちゃんにはあとで謝らないと。

そう思いながら靴を履き替えていれば
後ろからは
聞いたことのある声と温もりが。


「佐渡原先輩...」


そう。


それは私のか、彼氏の佐渡原先輩。


いつも来るの遅いはずなのに。


「今日どうかしたんですか?
いつもより来るの早い...」


そう素直に聞いたら
さらに腕を絞めながら

「今日の始業式出ないと
担任が留年させるとか言い始めてさ。
だりーけど留年は嫌だしな。」


そう言ってあくびをひとつ。


「まぁ結音に会いたいのもあったし?」


「なっ、何言ってるんですか!」


「ふっ。顔真っ赤じゃん。」


肩の上から顔を覗かせ
そう笑う佐渡原先輩はすごく意地悪で。


こっちは恥ずかしさで耐えられないのに
ずっと楽しそうに笑ってる。





「先輩の意地悪...!」