あくまでも、それは全部あたしのイメージでしかないんだけど。
早く会いたいな、響。
今は、ちょっとだけ眠ろう。
いい夢が、見られますように───
ゆっくり閉じた目を次に開けた時には、もうすでに目的の場所。
そう、時間なんて一瞬でしかない。
瞬きをする、その間にすべては変化する。
重たいキャリーバッグを持ち上げて駅のホームに出ると、信じられないくらいの人で溢れかえっていた。
あたし、人混み苦手なのに。
それに、何より1人でいるのが苦手だ。
さっさと駅を出よう。
待ち合わせ場所は駅前。
事前に服装の写メを送ったから、相手から見つけてくれるだろう。
出口を間違えないように、気をつけなきゃ。
方向音痴のあたしは、看板や矢印を必死に追いかけた。
視力が悪くて字が見えないから、こういう知らない場所を歩く時だけは嫌いなメガネをかけるの。
忙しく動く人の渦に、呑み込まれないよう急いで駅を後にした。