このケータイもそのうち、珍しいものになるんだろう。
キーボードからタッチパネルになって、機械はどんどん姿を変えていく。
それも、人間が対応できなくなるくらい速く。
車の免許がなくて、最寄り駅まで何時間もかけて歩いた。
夜中に家を出たから、今頃になってすごく眠い。
家族は、今何をしてるかな。
たぶん、お姉ちゃんが上手く説得してくれてる。
そうじゃなきゃ、あたしのケータイに電話がかかってくるはずだもん。
あたしのお母さんは、特に心配性だから。
電話越しの声と、プリクラで見た顔しか知らない。
ねぇ響、キミはどんな人ですか?
ホストなんて全然わからない。
あたしとは、住む世界が違いすぎる。
高校生になっても、付き合ったことなんてないに等しいし。
ましてや、ファーストキスなんて記憶にない。
恋愛と疎遠なあたしと、愛想を振り撒いて擬恋愛をするのであろうキミは、あまりにも正反対すぎるね。