テレビから流れる賑やかな声。
明かりの着いた部屋。
聞こえてきたシャワーの音。
響はシャワーを浴びているのか。
何時に起きたんだろう。
ベッドに座って、有名な芸能人が映っているテレビ画面を視界に入れる。
内容を楽しむというよりは、単純にぼーっと眺めていた。
シャワーの音が止まった時、はっとしてリモコンを持った。
何度かチャンネルを回して、結局また最初の映像に戻す。
なんとなく、落ち着かなかったのだ。
響と対面すると思うと、じっとしていられなかった。
動いて物音を立てることで、自分の存在を知らせたかったのかもしれない。
あたしが急に現れたら、彼にとって不都合が起こるかもしれない。
あくまでも、ここは“帰る場所”であって“自分の場所”ではないのだから。
居候させてもらっている身として、多少の気遣いは必要でしょう。
「おかえり」
そう声をかけられて、すぐに彼を見れない自分がいる。


