事実を言わないほうが良かったんじゃないかと、少し後悔。
夏希さんは、ちっとも考えの読めない人だ。
何を言い出すか、し出すか、想像できなすぎて怖い。
ちょうど若い女性の店員さんがデザートを運んできた時、彼女が顔をあげた。
「はい、連絡先」
「へ?」
「気が向いたら、いつでも連絡してよ」
目の前に置かれたパフェに手を伸ばしながら、紙に視線を落とす。
そこに記されていたのは、メールアドレスとケータイ番号。
「すぐに駆けつけてやるからさ」
語尾に星が付きそうな口調で、彼女はそう付け足した。
把握できたのは、彼女と今日だけの関係で終わりそうにないこと。
パフェのてっぺんに乗ったさくらんぼを口に入れてから、紙を手に取る。
気が向いたら、ね。
別にすぐに、連絡する必要性なんかないんだから。
「じゃ、それ食べ終わったら帰ろうか」
関わるつもりなんてないのに、なぜだろう。
彼女の無垢な笑顔に、何か惹かれるものがある気がしたのは。


