「図星だね。
じゃあさ、ちょっと付き合ってよ。
用が済んだら、あんたの行きたいとこまで送るからさ」
半ば強引に腕を引かれ、あたしは知らない街へと飛び出した。
嫌ならここで腕を振り払えばいいんだけど、さっき助けられたこともあって実行できない。
どうせ道がわからないんだし、あきらめて彼女について行こう。
そんなわけで、家出してから初めての女友達ができた。
「私さ、引っ越してきてまだ数ヶ月なの」
店に入って日用品を見ながら、夏希さんは言う。
今あたしは、流れで買い物に付き合っている。
「遠距離恋愛中の彼氏追いかけて上京したんだ。
なのに昨日フられてさ」
ため息をついたかと思えば、次の瞬間やんなっちゃうよね、と笑顔。
返す言葉が見つからなくて、ただ黙って耳を傾けた。
「よーし、今日は買い物して美味いもん食べて騒ぐぞ」
両手を上にあげて伸びをする。
「そうですね」
その様子がどこか可愛くて、あたしもつられて笑顔になった。
買い物をしていると、ふと響のことを思い出す。


