眩しい光で目が覚めると、真っ白い天井が見えた。
ここは…どこ?
脳が徐々にはっきりと物事を理解し始める。
首を動かすと、電源の消された真っ黒なテレビ画面。
テレビに寄せるようにして、テーブルが移動してる。
その手前には、布団に横向きに寝っ転がる響。
あたしの眠るベッドのすぐ隣に、布団を敷いていたらしい。
そっか、ここは彼の家だったっけ。
あたしは、ただの家出少女。
一瞬、ここにいることが夢かもしれないと思った。
でも…夢じゃない。
上半身を起こして大きく息を吐く。
キャリーバッグをあさって、タオルを片手に移動。
洗面所で顔を洗って髪をとかして、収納スペースから引っ張り出してきた洋服。
脱衣所の扉を閉めてから、着替えを始める。
できるだけ、物音を立てずに。
ベッドに戻って、もう一度キャリーバッグをあさる。
財布を取り出してから、鍵と一緒に小さめのバッグにしまった。
「行ってきます」
眠る響の髪にそっと触れてから、あたしは家の外に足を踏み出した。