バスタオルで髪をパタパタと叩くように拭く。
もうすでに、お気に入りのネグリジェには水滴が染み付いていた。
伸ばし続けてきた黒髪を、この際ばっさり切ってしまうのも悪くないかも。
外見を変えることで、自分自身の心も変えられそうな気がする。
いっそ、髪を明るい色に染めてみてもいいかもしれない。
しばらく動作を繰り返したところで、タオルを頭に被ったまま視線をテレビへ移す。
バラエティー番組が、部屋に明るさをくれているみたいだ。
無音の世界から、あたしを独りぼっちじゃないよと連れ出してくれる。
そういえば小さい頃、よくテレビの音に安心して眠りに落ちていくことがあった。
そのせいかな、とっても安心するのは。
寂しい時には、友達に電話をしていたっけ。
何でもいいんだ、話題なんか。
内容は関係なくて、ただ誰かの声が聞きたくて。
声を聞くと、誰かがそばにいてくれる気がしてた。
独りぼっちじゃない気がしてた。
ウサギは寂しいと死んじゃうって聞いたことあるけど、それってウサギだけじゃないと思う。
人間だってそう。
寂しいと、生きたいという意志が弱くなっちゃう。
重たくなる瞼の裏には、鮮明に響の笑顔が焼き付いたまま………。


