あたしにも、今を生きるための確実な役目があるのかな。
考えても、簡単には見つけられないけど。
近くのコンビニで、おにぎりやらお弁当やらを買ってきて夕飯にする。
「俺、明日仕事だから」
無言でツナのおにぎりを頬張るあたしに、響が言った。
「あたし、どうすればいい?」
響が仕事に行かなきゃいけないことは、わかってる。
泊まらせてもらってる側の自分が、相手に合わせるのは当たり前だよね。
「昼間は俺寝てるから、行きたいとこあれば勝手に行ってきていいよ。
家の鍵渡しとく」
テーブルに乗っけられた、たったひとつの鍵。
「響って、今何歳?」
「ハタチ」
鍵をじっと見つめてから、手に取ってもう一度じっくり見る。
他人の家の鍵を手にするのは、考えてみれば初めてだ。
「てか、なんで急に年の話?」
手元で鍵をいじるのをやめて、顔をあげる。
「なんとなく。
気になっただけ」
質問に答えた後で、少し寂しくなった。


