必要最低限のものしかないような、そんな空間。
玄関を入ってすぐの収納スペース。
廊下というか何というか、広々とした余ったような場所を抜けると部屋は現れた。
広いとは言い難い、でも狭いとまでは感じない。
テーブルやテレビ、壁際にはベッド。
それから、光の差し込む窓の向こうにベランダ。
「とりあえず、昼飯にしよう」
滅多に料理をしないという響に合わせて、2人でカップ麺を作ることにした。
2人で立つにはちょっぴり窮屈なキッチン。
シンクは綺麗なままで、棚にお行儀よく食器が並んでる。
ケトルに水を入れてお湯を沸かす間、あたしは部屋を見回していた。
「響って、綺麗好き?」
「なんで?」
「だって、余計な物が全然出てないよ」
金髪…というか、色が抜けて少し白がかった髪。
左目が隠れそうな長い前髪。
ちょっと短めの睫毛。
すっと通った鼻筋。
薄めの唇。
「使い終わったら片付けてるだけだよ。
掃除嫌いだし」
じっと彼を見上げていると、笑顔が降り注ぐ。


