滑り台やシーソー、ブランコや砂場がある小さな公園。
数個、真っ白くペンキで塗られた長いベンチが置かれている。
「ちょっと寄り道したい」
あたしは、響の横をすり抜けて公園の中へ。
後を、彼はキャリーバッグを引きながら付いてくるとベンチに座った。
無言でこちらを見る彼に、あたしは笑顔になって口を開く。
「小学生の頃に、よく遊んだなーって」
タイヤが、半分だけ土から顔を覗かせてる。
そこを、跳び箱を跳ぶように両手を着いてまたいだ。
小さな頃は、危うく跳躍が足りなくて脚を引っ掛けそうになったっけ。
今じゃ、両足を開けば簡単に飛び越えられる。
間隔を置いて続く3つのタイヤを、順番にリズム良く飛び越えてから振り返る。
ベンチの背もたれに体を預けて、こっちを見ている響。
あたしが近づくと、フッと笑う。
「どうしたの?」
「大きな子どもがいるなって思ってさ」
太陽が眩しいのか、少し目を細めて。
「気が済んだ?」
質問に頷くと、それを合図にベンチから立ち上がって再びキャリーバッグを引き始めた。


