それにしても今日の龍太郎の様子はおかしかったと小夜は思う。

何時になく上の空、奥方や音楽教師、毒舌の声も耳に届いていないようで、何度も注意を受けていた。

そして今も。

「!」

帰宅途中、歩いていた龍太郎がガクリと電柱に片手をついてよろめく。

『龍太郎君っ?』

思わず駆け寄る小夜。

具合でも悪いのか。

何しろこの暑さだ、熱中症にでもかかったのかもしれない。

そう思っていた小夜は。

「っはっ…!」

突然の龍太郎の下突き(ボディブロー)に胃液を逆流させる!