「アリスカちん、アリスカちん、いるぅ?」

この能天気な声は雛菊。

また来たらしい。

(もぉ…あんなに叱ったのに全然懲りてない…)

ガックリと項垂れるアリスカ。

しかし彼女とて学習する。

毎回毎回素直に部屋を明け渡すほどお人好しではないのだ。

本日はドアにも窓にもしっかり施錠して、カーテンを閉めている。

居留守を使う気満々。

迂闊にドアを開けると雛菊の高速タックル入室を食らう事も既に経験済み。

ここは心を鬼にして、ドアを正拳突きされても無視を決め込むのである。

世の中が全てアホの子の思い通りになると考えるのは間違いである事を、友人として教えてやらねばならない。