しかし。

「悪ィ、やめとくわぁ」

龍太郎はあっけらかんと答える。

「何故です…?…しんどい思いをして…努力を続けてきた龍太郎さんです…少しくらい楽をしてもいいのでは…?」

小岩井が言うものの。

「いやぁ…」

グビグビッとスポーツドリンクを飲み干し、龍太郎は笑う。

「てめぇの努力で得た力以外、俺は使わねぇ事にしてんだ。いっぺん楽しちまうと、怠け癖がついちまうからよぉ」

「……」

目を閉じ、小岩井は珍しく僅かに微笑む。

成程。

神は相応しい人間に、『臥龍』の力を与えたもうた。

彼ならば、『臥龍』の力を使い誤る事もなかろう…。