声をかけられ、振り向く。

男の背後には、くたびれた空手着を着た龍太郎が立っていた。

放課後の修行を切り上げ、これから更衣室で着替えて帰ろうという所。

その途中で、見慣れない男の姿を見つけたのだ。

「最近物騒なもんで、学校の敷地内に不審者が入り込むなんて事件もよく聞くが…」

二歩、三歩と歩み寄る龍太郎。

「アンタはどういう用件だ?天神学園の生徒の保護者…」

言いかけた龍太郎の喉元目掛けて、突如男は手刀を放つ!

これを類稀な反射神経で回避する龍太郎。

「…って訳じゃなさそうだな…」