明け方近くになって、『仕事』を終えた小岩井は宿直室へと戻ってくる。

物音を立てないように、静かにドアを開けると。

「!」

卓袱台に突っ伏したまま、肩に毛布をかけて眠る雪ん子の姿。

その卓袱台の上には。

『お仕事お疲れ様です。疲れた時には甘いものがいいですよ』

そんな書き置きと共に、かぼちゃプリン。

「…………」

表情は変えない。

ただ、小岩井は雪ん子の肩から滑り落ちそうな毛布をかけ直した後、かぼちゃプリンの仄かな甘味を堪能するのだった。