「冷蔵庫に冷たい飲み物やアイスクリームを買って来てあります…お腹が空いたらどうぞ…」

そう言って畳敷きの部屋から出て、作業用の黒い安全靴を履く。

振り向かずに言う小岩井の背中は、とても華奢だ。

「お、お出かけされるんですか?」

呟く雪ん子。

朝早くから一日中学園の雑務をこなしている小岩井は、夕方からの数時間をこの宿直室で雪ん子と共に何をするでもなく過ごした後、夜の10時頃になると再び出かけていく。

帰って来るのは何時かは知らない。

雪ん子が目を覚まし、学園での授業の為に出かける頃には、もう小岩井は学園での雑務を始めている。

本当に、いつ眠っているのか不思議なくらいだ。