とある天神学園の放課後。

「……」

執務の最中、ゆっくりと背伸びして生徒会室の窓際に立った白神 月(しらかみ つき)は、いつもと違う空気に気づく。

盲目の彼女だが、他の感覚は鋭敏だ。

気配、衣擦れの音、足音、体臭。

それらで少々離れた場所にいても、誰が何をしているのかが把握できる。

加えて彼女は読心術の持ち主だ。

聞こえてくる『心の声』は、人物特定の判断材料に役に立つ。