「雛菊ちゃん!雛菊ちゃん起きて下さい!」

白い息を吐きながら、色白男子が声を上げる。

今朝は格別に寒い。

こんなドアの前でいつまでも立っていたら、体が冷え切ってしまう。

雛菊など放っておいて、早々に自分だけ学校に行ってしまえばいいのに。

それをしない辺りが、彼の生真面目な所だ。

(龍太郎君に『雛菊ちゃんをよろしく頼む』って頭を下げられてるんです)

ギュッと握り拳を作る色白男子。

(頼まれた以上、雛菊ちゃんを遅刻なんてさせる訳には!)

うむ、実に生真面目。