「龍太郎さん!」

声をかけてきたのは、ヤクザ崩れの俺の舎弟。

「ほぼ全員ぶっちめてやりました。一人逃げられましたけど」

「あ゛ぁ?」

俺はギロリと舎弟を睨む。

「全員ぶっ殺せっつっただろうが」

「でっ、でもっ、何か訳わかんねぇ装置でパッと消えちまって…」

俺の顔色が変わった事で、舎弟達は恐れ戦く。

俺の機嫌を損ねる事は、この世界では生きていけないって事。

神も達人もねじ伏せた、この俺…『黒い竜』の異名をとる丹下 龍太郎のグループでは絶対の掟だ。

「おい、小岩井」

呼びかけに応じて姿を見せたのは、ツナギ姿の辛気臭ぇ面した無愛想男、小岩井。

こう見えても死神で、俺直属の使える部下だ。

「その舎弟二人、始末しろ。いらねぇ」

「そんなっ!龍太郎さんっ!勘弁して下さいっ!」

「…やれ」

言い放った後。

「……………許して下さい」

小岩井は、その手の処刑人の剣を振り下ろした。