ところで。

「…………」

いつもなら五つしか準備しない飲み物。

アリスカは今日、六つ準備した。

六つ目のコーヒーカップは。

「ど、どうぞ…粗茶ですが…」

「有り難うございます、アリスカさん」

緊張気味に男性へとすすめる。

灰色のツナギを着た、少し長めの黒髪の男性。

年齢は見た感じ、龍娘と同じくらいだろうか。

端正だが美形とまではいかない顔立ち。

物静かで温厚な印象を受ける人物だ。