人間とは一線を画する能力を持つ死神。

しかし、他人の夢や精神世界に介入する事までできるのか。

それとも、小岩井独自の能力なのか。

それはわからない。

彼自身も驚いている所だ。

とにかく。

「夕城のご子息が、無事に生まれるようですよ」

「生まれるよう?瑠璃君とめのうちんが?」

首を傾げる雛菊。

何ともおかしな言い回しなのは、小岩井が未来の事を語っているから。

10月10日。

その日に夕城の世継ぎと姫は元気にこの世に生を享ける。

これは確定事項。

「いいですか…10月10日ですから…」

小岩井は踵を返す。

「抱っこさせて欲しいと…しつこく催促のメールをしてあげて下さい…」

「ほぇええぇえ????」

何が何だか分からない。

雛菊は頭にクエスチョンマークを無数に浮かべた。