天神学園グラウンド。

「ふっ…!」

息を吐いて、雛菊はスターターを蹴る。

力強いストライドで50メートルを全力疾走。

陸上部のレギュラーにもなれそうな走りだ。

これが只の助っ人だというのだから勿体無い。

そんな彼女を。

「ほぇ?」

小岩井は、ただ佇んだまま見ていた。

「小岩井さんじゃん、珍しいね、部活を見学に来るなんて」

練習の足を止め、ニパッと笑う雛菊に。

「ちょっと…告げ口をしに…」

「告げ口?」

小岩井の言葉に、雛菊はキョトンとする。