そう言った雪菜の手には、徳利。
雪女である彼女の冷気で程よく冷やされた冷酒が入っていた。
「…こんなものまで用意して頂いて…」
徳利を受け取ろうとする小岩井だが。
「いけませんっ」
雪菜はその徳利を渡そうとしない。
「手酌なんて許しませんよっ、はい、小岩井さん、お、おひとつ…」
純情純朴なくせに、こんな事何処で覚えてきたのだろう?
「雪菜さん…」
小岩井の瞳が、少し窘めるものに変わる。
「雪菜さんは学生です…そのような水商売の真似事をするものではありません…本業の方達に失礼です」
「でもっ!」
「自分は」
小岩井は真っ直ぐに雪菜を見つめる。
「雪菜さんに隣で寄り添って頂いているだけで…美味い酒が飲めます…」
「……」
雪菜の手から徳利を奪い取るには、十分すぎる言葉だった。
雪女である彼女の冷気で程よく冷やされた冷酒が入っていた。
「…こんなものまで用意して頂いて…」
徳利を受け取ろうとする小岩井だが。
「いけませんっ」
雪菜はその徳利を渡そうとしない。
「手酌なんて許しませんよっ、はい、小岩井さん、お、おひとつ…」
純情純朴なくせに、こんな事何処で覚えてきたのだろう?
「雪菜さん…」
小岩井の瞳が、少し窘めるものに変わる。
「雪菜さんは学生です…そのような水商売の真似事をするものではありません…本業の方達に失礼です」
「でもっ!」
「自分は」
小岩井は真っ直ぐに雪菜を見つめる。
「雪菜さんに隣で寄り添って頂いているだけで…美味い酒が飲めます…」
「……」
雪菜の手から徳利を奪い取るには、十分すぎる言葉だった。


