「わたしのこと、話すね。


わたしは孤児だったの。生まれたときから施設に預けられていて、本当のお父さんとお母さんのことは何一つわからないんだ。


施設にはわたしと同じような境遇の子たちも結構いて、親がいないってことは特に気にならなかったかな。やっぱり、寂しかったけど。


時々ね、子供がいない夫婦が養子縁組するために施設に来るの。わたしは特に養子縁組しなくても良いって思ってたんだけど、ある夫婦がわたしのことを気に入ってくれて、養子縁組することになったの。」


そこまで言ってほのかはふぅっと息を吐いた。真人はほのかを安心させるように背中をさすってやる。


「…たいてい養子縁組するときは赤ちゃんとか幼児のときにしたがるひとが多いけど、わたしはその時中学二年生だったの。わたしを引き取った夫婦はその時もう50歳近かったから、自分達の年齢も考えてわたしを選んだの。」


「…それが、昨日のお父さん?」


ほのかはこくんと頷いた。