「さっきだってそうだよ。自分のことより、まず、周りの人のことを考えてる」 「…」 「そんな先輩をスゲェと思うと同時に、好きになっちゃったんだよね…」 「…」 今朝会ったばっかりの人に、ここまで思ってもらえるなんて…。 嬉しいなぁ…。 泣きそうなのを我慢して、笑顔で黎くんにお礼を言う。 「黎くん、ありがとぉ」 「え?」 「そんなふうに言ってもらえて、嬉しいの。ありがとう」 ありがとうの言葉と同時に笑顔になると、黎くんの顔が赤くなった。 ごまかすかのように、黎くんが話題を変える。