帰りのバスで、結城くんと会うことなんて滅多にない。
結城くんはサッカー部に所属している。
朝練は出ていないらしいが、放課後の部活は必ずでているらしい。
だから結城くんと帰りのバスで会ったことなんて、奇跡みたいで…。
数えるくらいしかない。
でもついつい、いるんじゃないかと期待して、探してしまう。
「雫先輩?」
「へ、なに?」
「どうしたんですか?キョロキョロして」
「あ、ううん。なんでもないよ」
笑ってごまかすと、納得したみたいで、黎くんは席を探す。
あたしの帰りのバスの時間帯は、乗っている人はあまりいない。
今日もそう、そんなに人はいない。


