「じゃあ、雫先輩一緒に帰りましょう」
か、帰る?一緒に?
「えっと、一緒にですか?」
「はいっ」
「…」
一緒に帰ろうと言われても、わざわざ、一緒に帰らなくても…。
そう思っていると、バス停にバスが止まる。
「あ、バスきた」
黎くんはあたしの手をとって、バス停に向かって走り出す。
「ち、ちょ、黎くんっ、手っ」
「いいから、早くはやくっ」
バスに走り込んで、少し乱れた息を整える。
呼吸を整えると、あたしは顔をあげ、バス内をキョロキョロと見渡す。
もちろん、相手は結城くん。
でも、結城くんはいない。


