「黎でいいです」
「ぃ、いやいやいや、萩野くんでいいですっ」

えーっと、不満そうに言うと、ひらめいたようにニコッと笑う。

「じゃー、オレ、雫先輩って呼びますっ」
「ぅえっ!?」
「ってことで、雫先輩も黎って読んでくださいっ」

ニコニコと言うけど、なにが、てことでなのかわからない。

「ゃ、でも…」
「黎じゃないと、オレ無視しますよっ」

や、あたしはそれでなにも、困んないけど…。

わくわくとあたしを見ている、萩野くんを見ると…

「れ、黎、くん…」
「はいっ」

満面の笑みの萩…黎くんにつられて、あたしも笑ってしまった。