そう、午後の部は姫役が少し出てきて、ダンスをするらしい。

だけど、なにもいいことなんてない。

人前でダンスとか、ありえねぇだろ…。

「薫!」
「麻希…」

げんなりしているところに、声をかけてきたのは、北川、北川 麻希。

一応、幼なじみ。んでさっきいってた姫役。

「もうスタンバイしないと」
「あぁ」

もう2年近くまともに話してなかったけ?


「でわ、午後の部スタートです!!」

クラスメイト執事との合図とともに、教室に入る。

「こんにちは皆様、午後は姫とともにダンスタイムといたしましょう」

このくそ恥ずかしい台詞を合図に、姫の格好をした麻希が入ってくる。

海斗が

『笑って踊れよ!』

そう言っていたのを思い出す。
たしか、少し踊って客の接客だったっけ…。

麻希の手をとって、ステップを踏み出す。