「絶対ダメッ!」
「だからなんで」
「病人はおとなしく寝なきゃダメだよ!!」
少し大きな声で言うと、「あぁ」と思い出したかのように呟いた。
「そーいや、熱あるんだっけ」
「…」
忘れてたんだ。
てゆうか!
「1人で大丈夫だから!」
「ダメだろ。もう、遅いんだし」
あたしの行動を否定して、外に行こうとした瞬間。
――ピンポーン
インターホンが鳴ると、お互いに顔を見合わせた。
「お客さん…」
「おぅ」
軽く返事をすると、結城くんはくつを脱いで受話器のところに向かう。
あたしも向かうと結城くんは、受話器を耳に当てたまま、固まっている。
声をかけようとする前に、結城くんが静かに口を開いた。
「麻希…」
その言葉を聞いたとたん、固まってしまった。