「だから、看病しようと思ったんだけど…」

そう言って俯き、口を閉じている。

「…なんだ?」
「えっと、よく考えたらお家の人とか…いる、よね…」

そういうことか…。
でも、桃宮がそんなこと気にすることはない。

「いねぇよ」
「え…」

ボソッと呟くと、はっきり聞こえたらしく、不思議そうな顔をした。

「この家には」

そう言うと、少し寂しそうな顔をした。

このことを知ってんのは、海斗と麻希だけ。

もう誰にも話すことないと思ってた。