どうくつの道のはてには、波が静かに打ちよせていた。どうくつの中で、小さな浜ができあがっていたのだった。浜のむこうに、ぽっかりとあいた穴からは、海と空と水平線が見えた。
 浜に腰(こし)をおろすと、ぼくはリュックから、ポテトチップとカルピスを取り出した。ユーイチもリュックから、おかきと水とう、それに二人の弟の分の紙コップを出す。
 ぼくとユーイチは、おたがいにおやつを相手にすすめた。ぼくはヒロアキとマサルにもポテトチップをさしだした。
 ほら、食べなよ、と言うと、ヒロアキがさっと手をのばして、ポテトチップを2枚取り、1枚をマサルにわたした。
 
 おやつの後で、ユーイチが急に、
「いいこと思いついた」
 と言った。

 なんだろう?

 ぼくはユーイチを見つめた。ユーイチは少し長いローソクを出すと火をつけた。それからヒロアキとマサルが飲みほした紙コップを二つ重ねた。コップの底に、ろうをたらして、かたまらないうちにローソクをくっつけ、さらに砂をちょっとコップの底につめる。
「何を作るの?」
「流しどうろうさ。それを海にうかべようと思ってね」
「すごい思いつきだよ。でみ、砂を底につめるわけは?」
「こうしないと、水の上ではすぐにかたむいちゃうからね。砂はおもしだよ」