もしかしたら
泣いていたのかもしれない
そして正直すぎた鬼頭の言葉は
俺の気持ちも逆に曇らせた
村田『そこまで思ってるのに
お前は12年間捨てちまうのかよ...』
さっきまで辞めさせまいと
食い下がっていた気持ちが絶対なものでなくなり
新たなステップへへも
背中を押してやる気持ちさえ
あたえてはくれなかったからだ...
鬼頭は下を向き
俺は言葉が見つかるまで時間がかかった。
そんな俺らを見かねてか笹木が
「鬼頭はちょっと熱くなりすぎだ。
辞める美学を語るな。みっともない」
と冷たく鬼頭を突き放した。
鬼頭の体がビクッと動き
顔を上げ我に返ったように
「すまん」とつぶやいた



