月野いずみは、水晶に目を落とすと、ふっと微かに笑みをもらした。


「そうね。あなたが記憶を失った半年間ほどの間に、あなたは運命の人に出会ってるわ」


「え!?やっぱり夢に出てくる彼なんですか?」


月野いずみは立ち上がると、壁際にひっそりと植えられていた月見草に歩み寄り、花びらにそっと触れた。


「あなたは、一度生まれ変わり、新しい運命を授かったのよ」


一度生まれ変わった?


「新しい運命を生きなさい」


倉橋美織、高校2年の春。


彼女は妖しく魅力的な微笑みで、美織の運命の人への扉を開け放った・・・・。