「さきちゃん?」
うんうんと頷く
そうだよ、と口にしたいけど
緊張して上手く話せない
「竜雅く…」
「そー竜雅だよー
お待たせー」
そう言った彼は
優しく微笑み
あっち、と指を指して
あたしの3歩くらい先を歩き
小さな公園に向かった
その時感じた
この人はいい人
まだ全然話してないけど
直感的にそう思った
動物的な本能で。
公園に着くと
あたしはベンチに座った
軽く彼を見上げると
「隣、いい?」
と言って
あたしが返事をする前に
ベンチの隣に座った
「いーよ」
完全に腰を下ろしてから
そう言った
「ぶっ」
吹いた
この人笑った
吹きやがった
「え?なんで笑った?」
なんでよ、と
目をキリっとして彼を見た

