怖くて怖くて怖くて……立ち上がれない。
腰が抜けた!
びっくりして口をぱくぱくさせているあたしに、彼は心臓を持ったままきょとんとして、
「ああ、これ?心臓……に見えなくはないけど…香水瓶だよ。セラヴィって書いてある」
香水の…瓶…………
彼はちょっと苦笑を漏らして、オレンジ色の蓋を外した。
中からふわりとまったりと甘い…それでいて上品な香りが香ってきた。
心臓―――…じゃなかった!
確かに良く考えたら色だって琥珀色だし、第一固そうだ。薄暗い中であんなものを目にしたから心臓と間違えちゃったんだな~
恥ずかしい!!
思わず顔を赤くして立ち上がろうとすると、彼が手を差し伸べて助け起こしてくれた。
わ…わぁ!!
ただでさえかっこわるいとこ見せちゃったって言うのに…
でもこれはラブアクシデント??
「ところで君はどうしてここに居るの?」
彼の質問にあたしは顔を真っ赤にして、
「願掛けにきました!あ、あなたはほとんど毎日ここに居ますよね。どうしてですか?」
思わぬ出来事があったけれど、ここで話さないと一生お近づきになれないかもしれない!
あたしは勇気を振り絞って聞いてみた。



