C'est la vie!



一人こんな場所に置いていかれたことと、扉が勝手に閉まったことにあたしはパニック状態!



「キ…キャーーーー!!」



思わず叫ぶと、


「お、落ち着いて!」と男の子の声が。


シャッとカーテンか何かを開ける音がして、暗闇に染まっていたあたしの視界をまばゆい光が飛び込んでくる。


眩しい光は外の陽光で、広い踊り場にはめられた大きな窓から光が差し込み、



その光の中に見慣れた彼の姿がぼんやりと浮かび上がった。


キラキラ…


夕日に映し出された彼の色素の薄い茶色い髪や瞳が輝いていて―――とってもきれいで


思わず見惚れてしまって口を噤んだ。


そして数秒遅れてあたしは、はっと我に返り、


びっくりしながらも、その彼のつま先から頭のてっぺんまで視線を巡らせた。


ちゃんと足ある……(しかも長い!)


「大丈夫?」


低くて、優しさを漂わせた―――甘い声。


ドキドキして心臓の辺りを押さえると、


ボトッ


何かが足元に落ちた。


音がした方を見て、あたしは今度こそ後ずさった。





それは茶色い色をした心臓だったから。





「――――!!!」



声にならない悲鳴を挙げて、今度こそ尻餅をつくと、


「これがどうかした?」


と彼が“それ”を拾い上げる。


え!ぇえ!!?



「し、心臓!」



だってそれ心臓だよ!!何で普通に持てるのよ!!


はっ!もしかして!!彼は幽霊なんかじゃなく殺人鬼!?


イギリスで有名だった切り裂きジャック!?


確かあの殺人鬼は女の人の内臓とかを死体から取り出してホルマリン漬けにしてたとか…


彼もここに興味本位でやってくる人たちを殺して、ひそかにあのお屋敷の中にコレクションしてるんだ!




あ、あたし殺される―――!!?