C'est la vie!



屋敷の中は当然ながら電気が通っていなくて真っ暗で、埃とカビの臭いが立ち込めていた。


外国のホラー映画に出てきそうな内装に思わず足がすくむ。


あの人が本当にこの中に……?


「ぅわ。中も凄いね~」とサヤカが恐る恐る言ってあたしにぎゅっと寄り添ってきた。


「って言うかお願いごとってどこですればいいわけ?」一方のアヤメはあっけらかんとしている。


「えっと……確か、一番高い階の一番中央の窓から外を見ながら願掛けするんだって」


とサヤカが言って、あたしは思わず止まった。



一番高い階の、中央の窓―――………







そこは彼がいつも居る場所―――






「お、おじゃましまーす…」


仮にも他人の土地だし、礼儀だよね…


誰に言うわけでもなくあたしたちはそろりと屋敷のボロボロの階段を、恐る恐る昇った。


踊り場までたどり着くと、






「Welcome♪」






ぽっかりと暗い渦を巻いた階段の、さらに上の方から声が聞こえて、



「幽霊!?やだ!!無理っ」


サヤカが叫んで走り出す。階段を下り、あたしはびっくりしたのと恐怖で足がすくんで一歩もその場から動けなかった。


「ちょっとサヤカ!」アヤメがサヤカの後を追って、


バタン!!


二人が外に飛び出たのを見計らったように扉が勢い良く閉じた。



――――!!!