「え!?ちょっと待って」
零くんはびっくりして目をまばたいていたけど、構わずにあたしは零くんの手を引っ張った。
繋いだ手から、指さきから―――まるで零くんの体温が伝わってくるかのような
錯覚に囚われた。
幽霊だから体温なんてない筈なのに。
でもその指先は、生前の零くんのぬくもりを思い出させた。
この手で包み込まれたセラヴィ。
この温かい指で撫でられた香水。
ミサトさんへの想い―――…
今、気付いた。
零くんがいつもあの出窓に居た理由を。
零くんは―――ミサトさんに想いが通じるよう
あの出窓から
お願いしてたんだね。
階段を一段飛ばしで駆け上がり、息を切らしながら(てか息なんてないけど、雰囲気だけね)
目的の出窓に走っていくと、
いつも零くんが外を眺めていたであろう、窓枠で
キラリと何かが光った。
「零くん!あった!!セラヴィ、あったよ!!!」
やっぱり―――想った通り。
心臓の形をしたセラヴィは、まるで零くんの気持ちを代弁するかのように、この窓枠に置かれていた。



