香水の蓋が開いていないのに、そこからふわりとあの甘くて濃密な香りが香ってくる気がした。
まるで誘われるように、引きずられるように―――
その夜もあたしはやっぱり夢を見た。
零くんと、大人の女の人……
上品で、すごくきれいな人だった。
その人と笑いあいながら、二人並んで床に腰掛けてる。
零くんは、あたしには見せたことのない温かい微笑みで女の人を見つめて、その人に何かの箱を手渡していた。
正方形の四角い箱。ピンクのリボンが掛けられていて、女の人は丁寧にそれを解いた。
中から、あの
心臓―――…もといセラヴィの香水瓶を取り出して、女の人は一瞬驚きの表情を見せたものの、
すぐに柔らかい笑顔を浮かべた。
まるで大きな百合の花のように、気品があって可憐な笑顔だった―――
「ありがとう、零。大切に使うわ」
「美紗都に合うと思って。俺と会うときにつけてきてよ」
零くんが微笑みを浮かべて、女の人の頬に手を置いた。
女の人は少しだけ恥ずかしそうに微笑むと、零くんに顔を近づける。
零くん……キスしないで!
やだ!
やだよ!!



