これは夢―――……?
だってそうだよ…
あたしは零くんのこんな場面知らない。
零くんの傘なんて知らない。
でも深い紺色をした傘から少しだけ覗く零くんの顔は―――
とっても寂しそうで……色素の薄い瞳が悲しみに翳っていた。
あの―――お屋敷の出窓から外を眺めているときの…いつもの零くんの
見慣れた表情。
「頼りなくてごめんね。
ばいばい。
美紗都―――」
ミサト………
誰?
打ち付ける雨が一層音を増して、激しくなる。視界を覆うような濃密な雨が降り注ぎ、
零くんの頬を濡らしていた。
傘―――……さしてるのに、何で零くんの頬、濡れてるんだろう……
零くん―――
零くんは、頼りなくなんかないよ。
あたしは急に幽霊になっちゃって、びっくりしたけれど、泣き叫ばなかったのは零くんが居てくれたおかげなんだから。
そのほかにも零くんはいっぱい頼りになってくれたよ。
だから
そんな悲しい顔をしないで―――………



